3-1 遺言の要件
Q41:遺言の有効要件を教えてください。
A41:遺言は要式行為で、法定の要件を満たさなければ無効です(形式的要件)。ほかに、遺言の内容を理解するに足る意思能力があったことが要件です(実質的要件)。
Q42:なぜ、遺言には厳格な要式が要求されるのですか。
A42:遺言が法定相続を修正するのは、遺言者の意思を尊重するからです。遺言者の意思を確認できるために、厳格な要式が必要とされ、また、遺言はいつでも撤回できるのです。
Q43:自筆証書遺言について教えてください。
A43:遺言者が、その全文、日付及び氏名を自著し、押印して作成します。封がしていることは要件ではありません。遺言の存在自体秘密にできますが、後で偽造が争われることもあります。自筆証書遺言を保管する者は、相続開始後遅滞なく家裁に検認の手続きをとる必要があります。
Q44:公正証書遺言について教えてください。
A44:証人2人が立ち会い、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して遺言者及び証人に読み聞かせ、遺言者と証人が筆記が正確なことを確認し、各自署名押印し、公証人が以上の方式に従ったものである旨付記して署名し押印して作成します。偽造が争われることは少ないですが、遺言書の内容も秘密にできません。検認は必要ありません。
Q45:秘密証書遺言について教えてください。
A45:遺言者がその証書に署名押印し、封じ、同じ印章で封印し、公証人及び証人2人の前に封書を提出して事故の遺言書であること及び氏名住所を申述し、公証人がその証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、証人とともに署名押印して作成します。家裁の検認が必要です。
Q46:遺言があるかどうか調べられますか。
A46:遺言公正証書の場合、最寄りの公証役場で遺言検索システムを使い、公正証書遺言がないかを検索できます。
3-2 遺言の効力
Q47:遺言があるとき遺産分割は不要なのですか。
A47:遺言があるとき、法定相続は遺言の限度で修正され、遺言が優先されます。そこで、遺言で具体的な分け方が決まっている時には、遺産分割は不要です。
Q48:遺言により効力が生じる事項にどんなものがありますか。
A48:遺言指定できるものとしては、様々ありますが、@相続分の指定や遺産分割方法の指定など法定相続を修正する事項、A相続以外の財産配分方法として遺贈等B身分に関するものとして認知等C遺言執行者の指定などがあります。
Q49:「相続させる」という遺言の文言はどういう意味を持ちますか。
A49:「相続させる」という文言で不動産を一人の相続人に取得させる遺言を残すと、受益者は単独で登記の申請ができます。最高裁は、「相続させる」は遺産分割方法の指定であるが、何らの行為を要せずして、当該遺産は被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継されるとしています。
Q50:自筆証書遺言で、被相続人名義の土地を「相続させる」趣旨の遺言があったとき、どのようにして、土地を取得できますか。
A50:公正証書遺言であるときと変わりなく、土地は被相続人の死亡の時点で、確定的にあなたに承継されます。これには特に何らの行為も要しません。あなたは単独で登記申請ができます。遺言執行者がいても、遺言執行者も登記申請できず、あなたのみが単独で登記申請できるのです。
Q51:共同相続人全員で遺言と異なる分割を合意することはできますか。
A51:相続人全員(遺贈があれば受贈者も含む)の同意があれば、遺言と異なる遺産分割をすることも可能です。
3-3 遺言執行
Q52:遺言執行者とはどういう人ですか。
A52:遺言執行者とは、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する者です。
Q53:遺言執行者は必ずおかなければならないのですか。
A53:子の認知、推定相続人の廃除の請求は遺言執行者でないとできませんから、これらを遺言で定めるときには、遺言執行者が必要的です。その他の事項については、遺言執行者は絶対的ではありませんが、遺言の内容を不満に思っている共同相続人がいて、利害が対立するときには、遺言執行者がいた方が遺言の実現がスムーズにいきます。
Q54:遺言執行者がいるとき、共同相続人の一人が遺言に反して勝手に財産を処分した場合には、どうなりますか。
A54:遺言執行者がいるときには、相続人は遺言の執行を妨げる行為はできませんから(民法1013条)、かかる相続人の行為は絶対的に無効です。
Q55:遺言執行者がいるのですが、相続人全員で遺言と異なる分割をしたいと合意が得られています。遺言執行者がいる限り、このような合意をしても無意味ですか。
A55:このような場合には、遺言執行者が相続人の意思を尊重しても、民法1013条には違反しません。遺言執行者が追認してくれれば、かかる合意も意味があります。
3-4 遺留分制度
Q56:遺留分とは何ですか。
A56:遺言によっても奪えない、相続財産の一定割合のことです。一定の範囲の相続人には遺留分があって、これにより、残された家族の遺産への潜在的持ち分を確保し、家族の生活の保障をしているのです。
Q57:遺留分を主張できるのは誰で、どんな割合ですか。
A57:兄弟姉妹をのぞく法定相続人で、直系尊属のみが相続人の時には、財産の1/3、そのほかの者が相続人の時には、財産の1/2です。
Q58:遺留分の侵害はどう計算すればよいですか。
A58:たとえば、1000万円の財産がある人が、そのうち600万円を愛人に遺贈した場合で、法定相続人として、妻と子2人がいるとき、妻は1000万円×1/2×1/2=250万円の、子は1000万円×1/2×1/2×1/2=125万円のそれぞれ遺留分があります。愛人への遺贈で、実際には、妻は、400万円×1/2=200万円、子は400万円×1/2×1/2=100万円しか受け取れず、妻にとって、50万円の、子にとって25万円の遺留分侵害があることになります。
Q59:遺留分侵害の対象となる行為は何ですか。
A59:遺贈と相続開始前一年間にした贈与、遺留分権利者に侵害を与えることを知ってなした贈与、特別受益などです。
Q60:遺留分の侵害があったらどうすればよいですか。
A60:相続の開始および減殺すべき贈与、遺贈があったことを知ったときから、1年以内に、減殺されるべき処分行為により利益を受けた者に対し、遺留分減殺請求を行います。このときには、配達証明付き内容証明郵便によるべきです。
Q61:遺留分減殺の順序を教えてください。
A61:遺贈→死因贈与→後の贈与→先の贈与の順です。