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婚約不履行

問) 妻のある人との婚約は有効ですか。
答) その人の現在の婚姻が破綻しており、近い将来離婚が成立する見込みが確実な場合には、婚姻の解消後に婚姻しようという合意も有効と解して良いでしょう。東京地判昭和34・12・25は、妻ある男との婚姻予約を有効とし、予約不履行に対する信頼利益の賠償(契約が有効に成立することに寄せた信頼=そのために費やした実費など)を認めました。

問) 結納を交わし、お互いの親戚にも紹介した婚約者が、翻意して婚姻しないと言ってきた場合、婚約の履行を求めることができますか。
答) 家庭裁判所に調停を申し立てて翻意を促すことや訴えで履行を求めること自体は可能です。しかし、婚姻は自由な意思に基づいてのみ行われるものであって、強制はできません。婚姻は両性の合意のみによって成立するというのが憲法の精神ですから、国家からの強制にはなじまないのです。

問) 婚約したのですが、解消したいと考えています。どういう場合に、解消できますか。
答) 婚約を解消するには、正当事由がなければ、違法性があるとして損害賠償の対象になります。問題は、いかなる場合に正当事由があるかですが、判例では、性交不能がある場合、不貞行為があった場合などに正当事由があると判断されています。婚姻解消の正当事由よりは緩やかに解されますが、単なる「相性・方位が悪い」などは正当事由にならないと言えます。

問) 一方的に婚約を破棄された場合、損害賠償請求できる範囲はどこまでですか。
答) まず、物的損害として、婚約披露の費用、結婚式場や新婚旅行などの申込金やキャンセル料です。また、婚約し、結婚準備のために会社を辞めたときに、退職をしなかったら得られたであろう額(逸失利益)が損害賠償の範囲に含める裁判例もあります(東京地判昭和34・12・25)。さらに精神的損害に対する慰謝料請求ができます。

問) 婚約を解消されましたが、それは彼の母親が強硬に結婚反対の意見を主張し、彼に働きかけたからでした。彼の母親に損害賠償請求できますか。
答) 彼には資産がなく、彼の母親には資産がある場合など、彼の母親に損害賠償請求できる方が、あなたはより保護されるといえるでしょう。要件さえ満たせば、母親に対して、不法行為に基づく損害賠償請求ができます。裁判例にも、男性側からの婚約破棄の事案につき、男性の不法行為責任を認めるとともに、その母親にも共同不法行為責任を認めたものがあります(徳島地判昭和57・6・21判時1065号170頁)。

問) 婚約を解消されましたが、それは彼がほかの女の人を好きになり、すでに肉体関係まで有してしまったからでした。この女の人にも損害賠償請求できますか。
答) 第三者(女の人)の不法行為責任を問うことは可能でしょう。ただし、第三者の関与が違法と言える程度でなければなりません。裁判例には、第三者が婚約者と肉体関係を結びながら、事実を偽ってこれを否定していた事例で、第三者の違法な行為によって婚約の解消を余儀なくされた場合、第三者は不法行為による損害賠償義務は免れないとしたものがあります(大阪高判昭和53・10・5判タ378号107頁)。

問) 結納を渡したのですが、婚約を解消しました。相手にも婚約解消に至るにつき、責任があった場合、結納は返してもらえますか。
答) 結納者の責に帰すべき事由によって婚約が解消された場合でも、結納を受け取った側にも婚約解消の責任の一端があった場合、結納者の責任が結納を受け取った側の責任より重くないときには結納等の返還を許し、より重いときにはその返還を請求できないとした裁判例があります(福岡地小倉支判昭和48・2・26判時713号108頁)。

問) 婚約を解消したとき、交際中にもらった指輪などプレゼントも返還しなければなりませんか。
答) 指輪が婚約指輪であったとき、これは結婚することを目的とする贈与ですから、結納と同様に返還しなければなりません。交際中のプレゼントは、婚姻を前提とするものではなく、愛情の表現ですから、特に当事者が婚姻を目的とする旨を明らかにしない限り、返還の必要はありません。

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