離婚相談(離婚後の生活)

問) 離婚後、子供を養育していくことになりました。会社の家族手当はもらえるでしょうか。
答) 家族手当がもらえるかどうかは、その企業が就業規則や労働協約で家族制度を設けているかどうかによります。家族手当の受給は個々の労働契約に基づくのです。

問) 私は女性ですが、子供を連れて離婚しました。会社の家族手当の規定は、「妻子を有する者」に支給されると規定されています。私は家族手当を受給できないのでしょうか。
答) 男性のみに家族手当を支給することは、労働者が女子であることを理由に賃金について男子と差別的取扱いをしてはならないとする労働基準法4条に違反し無効です。その旨を定めた就業規則、労働協約はその部分で効力を有しないので、あなたは無効にならなかった部分で家族手当の支給を求めていけるというのが判例の趣旨です(仙台高判平成4・1・10)。

離婚相談(離婚と氏)

問) 親権者を父として離婚しましたが、母である私が育てています。私は、離婚により婚姻前の氏に復氏しましたが、子の氏も私と同じく変更できますか。
答) 子の氏の変更を家庭裁判所に申し立てられるのは、子自身です。そして、子が15最未満であるときは、その法定代理人である(親権者)父が子に代わってその申立を行います。ですから、父が承諾してくれれば氏の変更は可能でしょうが、そうでなければ、子が15歳になるまで待つしかありません。

問) 離婚後も元夫の氏を名乗っていましたが、再婚することになり再婚相手の氏を称することになりました。子供の氏も同じく変更できないでしょうか。
答) 新しい夫と子供とが養子縁組すれば、子は新しい夫の氏を称します。

離婚相談(離婚給付)

問) 財産分与として精算の対象となる財産の範囲を教えてください。
答) 夫婦の婚姻中の財産としては、(1)特有財産(婚姻前から各人が所有していたもの、婚姻中に一方が相続したり、贈与を受けたもの及び各自の装身具等)、(2)名実ともに共有財産(夫婦が合意で共有とし共有名義で取得した財産、共同生活上の家財や家具)、(3)実質的共有財産(名義は夫婦の一方に属するが、実質的には夫婦の共有と解すべき財産)とが考えられます。財産分与の対象となるのは、(2)と(3)です。

問) 財産分与の請求をするに際して、別居期間中の婚姻費用(生活費等)も含ませることができますか。
答) 判例は、財産分与の額及び方法を定めるについて、当事者双方の一切の事情を考慮すべきものとし、婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様はその事情の一つにほかならないから、裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の精算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができると解しています(最判昭和53・11・14)。

問) 夫の両親と同居し、両親が経営する事業に夫とともに協力して生計を立てていました。財産分与は受けられないでしょうか。
答) 夫やあなたに給料として正当な報酬が支払われていて、それを元手に購入したものがある、預貯金があるなどの場合には、それらが財産分与の対象となります。給料が支払われていなかったような場合は、家族の全体財産に対する夫婦の共同財産分を評価し、これを精算の対象とします。

問) 夫が将来もらうであろう退職金は財産分与の対象にならないですか。
答) 将来の退職金については、退職時期や死亡といった不確定要素にかかるので、精算の対象とするのは困難です。すでに受給したり支給の決定したものは財産分与の対象となります。

問) 不貞行為を働いた妻と離婚するにも、財産分与はしなくてはならにのですか。
答) 財産分与は夫婦財産の精算的要素を有しますから、この部分については不貞を働いた妻も財産分与請求権を行使できます。財産分与の扶養的要素については、判例はおおむね財産分与を請求できないと解しています。

問) 婚姻中に取得した住宅にはまだローンが残っています。財産分与の範囲はどうなりますか。
答) 当該住宅の時価から、残っている債務額を控除した残額を分与の対象とするのが通常です。

問) 私は専業主婦でしたが、離婚するに当たり、財産分与を請求できるのでしょうか。
答) 妻の家事労働にも夫の労働の評価と同等の評価を与え、夫婦共同生活上で取得した財産については財産分与の対象とみるべきでしょう。ただし、妻の家事労働の評価だけでは、通常財産形成に対する寄与分は20%ないし30%といわれています。

問) 夫の求めに応じて、協議離婚することになりましたが、夫には暴力、不貞等の不法行為はありませんでした。慰謝料はもらえますか。
答) 離婚することそれ自体が直ちに不法行為になると考えるには無理があり、特段不法行為がなかったのであれば、慰謝料請求は難しいでしょう。一方、離婚の原因となった個々の行為と離婚による損害発生とが相当因果関係にあれば、慰謝料請求は可能でしょう。

問) 離婚の裁判で財産分与を命ずる判決をもらいました。後から別に慰謝料請求することは可能ですか。
答) 可能です。財産分与を請求するに当たりその相手方が離婚につき有責の者であることは要しないので、財産分与の請求権は、相手方の有責な行為によって離婚を余儀なくされた精神的苦痛を被ったことに対する慰謝料請求権とは、性質を同じくするものとは言えないからです。すでに財産分与がなされていても、不法行為を理由として別途慰謝料請求することは可能とするのが判例です。

離婚相談(養育費)

問) 親権者でない父親には養育費支払いの義務はないのでしょうか。
答) 親権者でない親にも養育費の支払い義務はあります。養育費は親子関係の存在そのものに基づく扶養義務であると解されているからです。

問) 未成年の子供から一方の親に扶養料を請求する場合、その方法を教えてください。
答) 未成年の子から扶養審判の申立をなすには、未成年者は無能力者であるため、法定代理人を介して請求することになります。このとき、父母が婚姻中であった場合、請求を受ける親も法定代理人ですから、利益相反行為にあたり、特別代理人の選任が必要になります。父母が別居状態にある場合及び離婚後は、同居している父母の一方または親権者の単独代理によってなされます。

問) 子を監護する親から養育費の請求をする方法を教えてください。
答) 父母が婚姻関係にある場合は、婚姻費用の分担の協議または申立をすれば良いでしょう。父母が婚姻関係にない場合は、子の監護に要する費用として協議または調停ないし審判で定めることになります。

問) 家事調停で決まった養育費の支払いを相手方がしてくれません。どうすればよいですか。
答) 調停調書に明記されていれば、それだけで民事執行が可能です。しかし、養育費は少額の分割払いを内容とするものが多く、強制執行しても費用の方が多額になることも考えられます。このとき、家庭裁判所に履行勧告を申し出ることができます。これは、遅滞が生じた時点で、権利者はいつでも、書面、口頭、電話のいずれの方法でもできます。費用はかかりません。但し、強制力はないので、家庭裁判所のねばり強い勧告に期待するしかありません。

問) 養育費の取り決めをしないまま離婚した場合、あとから養育費を請求していくことはできますか。
答) 養育費は子供の生活費ですから、親子関係そのものに根拠をおくので、離婚後も養育費の分担を請求できます。このとき、協議によるなら、公正証書にして後日の紛争に備えるのが良いでしょう。協議が整わないときには、相手方の住所地の家庭裁判所に養育費支払いの申立てをすることができます。

問) 離婚の際取り決めた養育費の増額請求、減額請求はできますか。
答) 離婚時に予測のできなかった個人的、社会的事情の変更があればできます。個人的事情とは、父母の失業、病気等による長期入院などです。社会的事情とは、物価の急激な変動などです。増額請求、減額請求いずれにしても、協議が整わなければ家庭裁判所に調停ないし審判の申立をします。

問) 夫が養育費を払ってくれないので、自分で何とか工面して子供を育てています。夫に過去の養育費も請求できますか。
答) 別居時、離婚時に養育費の取り決めがあった場合、過去の養育費も夫の分担分を請求できます。養育費の取り決めをしなかった場合は、扶養権利者の要扶養状態、扶養義務者の扶養可能状態(経済力)があれば、そのときから扶養義務が発生するというのが最近の審判例です。夫が相続等の事情で経済力を得たなどの事情がある場合は、家庭裁判所ではその事情も考慮して、具体的な分担額を決めてくれます。

問) 婚外子を産みましたが、父親である男性から養育費を払ってほしいと思っています。可能ですか。
答) 可能です。まず、事実上その男性が父親であることが分かっていても、法律上の父親になるためには、認知してもらうことが必要です。そして、認知が認められれば、その男性は子が産まれたときから遡って父親としての扶養義務を負うことになりますから、養育費を払ってもらえます。養育費の協議が整わなければ、家庭裁判所で調停あるいは審判で決めてもらえます。

問) 離婚後、元夫に子供の養育費を払ってもらっていましたが、再婚することになりました。子供と夫は養子縁組をすることになっています。元夫の養育費支払い義務は終了するのですか。
答) 当然に終了するわけではありません。養子縁組により子は養親の嫡出子としての身分を獲得するので、養親も養子の扶養義務を負いますが、これによって、元夫の扶養義務が当然になくなることはありません。同様のケースで、実父からの養育費減額請求について事情の変更を理由に請求を認めた審判例があります。

離婚相談(子の親権・監護権 面接交渉)

問) 親権の内容の分類を教えてください。
答) 身上監督権と財産管理権とに分けられます。前者には、子の監護・教育の権利・義務及び居所指定権、懲戒権、職業許可権などがあり、後者には、財産管理のほかに法律行為の代表権などがあります。

問) 子の財産を処分するに当たって、親権者はどう関与できるのですか。
答) 親権者が子を代表して財産を処分することができます。このとき、父母が婚姻しているのなら、父母は共同して子を代表します(民法第818条3項)。また、民法は、代理人たる親権者が同意を与えて本人に法律行為を行わせることも認めています(第4条)。父母が離婚するなどして親権者が父母のどちらかである場合は、親権者である父母のいずれかが単独で代表できます。

問) いまだ婚姻中ですが、夫が長期間にわたってほかの女性と同棲しています。私一人で親権を行使できるでしょうか。
答) このようなケースで、子と同居している側の親による親権の単独行使を認めた判例があります。「親権は父母の婚姻中は父母共同してこれを行うのが原則であるが、父母が共同して親権を行使すべき場合にも『父母の一方が親権を行うことができないときは他の一方がこれを行う』(民法818条3項但書)ことと定められており、右にいわゆる『親権を行うことができない』ときには父母の一方の行方不明、長期旅行、重病などの場合のみならず、父母の婚姻関係が事実上破綻し、父母の一方が他の男又は女と同棲し、子との別居が長期に及んでいる場合も含まれるものと解すべき」としています(東京地判昭和37・7・17)。

問) 離婚するに当たって、親権者を私と定めましたが、再婚することになりましたので、親権者の変更をしたいと思います。可能でしょうか。
答) 親権者変更の基準については、「子の利益のため必要があると認めるとき」と規定されています(民法819条6項)。「子の利益」の判断は、家庭裁判所の裁量でなされますが、具体的には、親側の事情として養育環境(家庭環境等)、子に対する愛情等、親の健全性が、子側の事情として子の年齢・心身の状況、子の親に対する感情等、子の意思を総合考慮して、もっぱら子の福祉のために決められます。たんに、再婚するからと言う親側の一方的な都合では、親権の変更は難しいでしょう。

問) 離婚して、親権を獲得しましたが、長期に海外出張に出なければならなくなりました。親権を辞任することはできますか。
答) 親権を行う父母に「やむを得ない事由があるときは」家庭裁判所の許可を得て、親権を辞任できます(民法837条1項)。離婚して単独親権であったというのですから、辞任により、後見が開始します。ただ、子の福祉を考えるのであれば、親の一方に親権を変更する手続をとる方が良い場合もあるでしょう。

問) 夫とは別居して離婚交渉の最中ですが、子供の取り合いになっています。どうすれば良いでしょうか。
答) 別居していても、離婚に至っていない場合には、親権は共同行使されている状態にあります。このような場合、家庭裁判所に離婚成立、親権者決定までの間の子の監護者を決めてもらう調停または審判の申立ができます。この調停または審判で、あなたが監護者と決まったら、それに基づいて、子の引き渡しを請求できます。

問) 子供を相手方のもとに置いたまま離婚しましたが、面接について何も決めませんでした。子供に会うことはできますか。
答) 相手方が任意に子供との面接を認めてくれればそれに越したことはありませんが、そうでない場合は、家庭裁判所に面接を求める調停申立をするのが良いと思います。調停が成立しない場合は、審判手続に移行し、審判によって面接方法を定めてもらうことになります。

離婚相談(離婚成立までの財産関係・経済的負担)

問) 私は専業主婦ですが、夫が婚姻中に夫の収入で取得した夫単独名義の不動産について、共有物であると主張できるでしょうか
答) 質問と同様の事案で、専業主婦である妻から、2分の1の共有持分の確認を求めたのに対して、専業主婦の場合は、その財産取得に内助の功があったとしても、共有財産にならないとして、訴えを退けた判例があります(大阪高判昭和48・4・10)。この事例は、離婚に伴う財産分与として請求されたものではなく、直接共有持分の確認を求めたものであることに注意してください。

問) 夫が妻に渡した生活費の中から、妻がその余りを預金した場合、その預金は共有物と言えるでしょうか。
答) 判例は、こうした生活費は夫婦共同生活の基金としての性質を有するものであるから、夫または妻の特有財産となるものではなく、夫婦の共有財産になるとしています。

離婚相談(離婚原因)

問) 夫が、生活費を与えすぎたとして、その返還請求訴訟を提起してきました。離婚原因にならないでしょうか。
答) 夫婦間では、相手方の立場や名誉を考えて、より穏当な方法で、問題の解決を図ることが要求されます。それなのに、あえて法的手段に出ることは、夫婦関係がすでに破綻しているといえ、「婚姻を継続しがたい重大な事由」になり得ます。

問) 夫が、外で酔って暴れて傷害事件を起こしました。離婚原因にならないでしょうか。
答) 夫の行為により、妻の名誉が傷つけられたり、夫が勾留されたり、服役するなどして、生活費にも困る事態が生じた場合など、夫の配偶者への配慮を欠いた点で破綻原因となります。「婚姻を継続しがたい重大な事由」になり得ます。

問) 妻は家事を全くしません。離婚原因にならないでしょうか。
答) それだけでは、離婚原因になるかどうか微妙ですが、さらに賭け事にこったり、不必要な贅沢品を購入していたり等の事情が重なれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」になり得るでしょう。

問) 夫の母親と同居していますが、不仲です。離婚原因にならないでしょうか。
答) 夫婦関係の破綻は、嫁姑の対立相克にあるとし、「婚姻を継続し難い重大な事由」になるとした判例があります。親族との不和解消のために夫が必要な努力を怠ったとか、かえって姑等に荷担してあなたにつらく当たったという事情があれば、離婚原因にあたると言って良いでしょう。

問) 夫の性生活の異常は、離婚原因にならないでしょうか。
答) 夫婦間の正常な夫婦生活を妨げる諸事情(性交不能、異常性欲、性病など)も、婚姻破綻を招く重要な事実となり得ます。相手が、強いて性交を迫る、暴力を用いる等の事情があれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められやすくなるでしょう。

問) 夫が、ほかの女性を強姦しました。離婚原因にならにでしょうか。
答) 最高裁は、「民法770条1項1号所定の『配偶者に不貞の行為があったとき』とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであって、この場合、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わないものと解するのが相当である。」として、離婚原因になると解しています(昭和48・11・15判決)。

問) 夫はほかに交際している女性がいるのですが、まだ肉体関係にはないようです。離婚原因にならないでしょうか。
答) 判例は、「配偶者に不貞の行為があったとき」とは、姦通があった場合に限るという狭義説を採っているものと解せられます。従って、その女性と肉体関係があることを立証できなければ、離婚原因があるとは認定されがたいでしょう。

問) 夫が、家を出てから、20年が経ち、生死が不明です。どうしたら離婚できますか
答) 「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」(民法770条1項3号)は、離婚原因になります。3年という期間の始期は最後の消息があった時をいいます。同条項で離婚の裁判を起こすこともできますし、失踪宣告(民法30条)を受けて、死亡による婚姻解消の方法もあります。

問) 夫は、自分で経営している会社に泊まり込んで、帰宅しません。生活費はもらっていますが、離婚原因にならないでしょうか。
答) 「悪意の遺棄」にあたり、離婚原因になる可能性があります。悪意とは、社会的・倫理的に非難されるような心理状態をいい、遺棄とは、正当な理由もないのに、同居を拒否したり、協力扶助義務を果たさないことをいいます。生活費を渡しても、帰宅しない期間が長くなったりすれば、同居拒否にあたると言えるのです。

問) 妻が、不治の精神病と診断されています。離婚できるでしょうか。
答) 離婚原因となるためには、(1)強度の(2)精神病にかかり(3)回復の見込みがないことが必要です。その決め手は、正常な婚姻生活の継続を期待できない程度の重い精神的障害があることです。そして、それがあったとしても、民法770条2項で裁判所は一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときには離婚の請求を棄却することができると定めていますので、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等について具体的方途の見込みのついた場合でないと離婚は許されないとされています。

離婚相談(離婚の方式)

問) 夫は成年被後見人(禁治産者)ですが、協議離婚できますか。
答) 成年被後見人(禁治産者)は単独では法律行為ができないのが原則ですが(民法第9条)、離婚するには、離婚とはどういうものであるかを理解する能力があれば、成年後見人(後見人)の同意なくして行えます。

問) 夫の暴力がひどく、「今度暴力を振るったら離婚する。」との合意をしています。夫が暴力を振るったらすぐに離婚できますか。
答) 条件を設けて離婚の合意をしても、その条件が現実のものとなったときに、再度離婚することにつき協議し合意できない限り、協議離婚は成立しません。結婚や離婚の身分法上の意思表示には条件を付けることができないのです。

問) 夫婦けんかをして、夫から「今度こんなことがあったら離婚する。」からといって、離婚届に署名するように言われました。軽い気持ちで署名したのですが、実際に夫がこれを届けてしまいました。離婚は有効でしょうか。
答) 協議離婚成立のためには、離婚意思と適式の届出が必要で、前者は届出のときに存在することが必要です。従って、届出をすることを前提にしないで署名された離婚届は、仮に提出されても無効です。ただ、実際に届出が為されると、離婚意思があったと推定されますから、その有効性を争う者に離婚意思の不存在を立証する責任があります。

問) 便宜上離婚することにして、離婚届を出しました。あとから、この離婚は無効であると言うことはできますか。
答) 方便のための離婚について、判例は、あるいは有効とし、あるいは無効としています。比較的最近の判例では、生活保護を受けていた夫の妻が、働きに出るため、引き続き生活保護を受けるために協議離婚したが、夫婦の生活関係に変化はなかったという事案で、「離婚届が法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてされたものであって、離婚を無効とすることはできない」としました(最判昭和57・3・26)。先例では、少なくとも離婚の効力を争う側の反証を許すとしており、届出意思即離婚意思とされているのではないと言えます。

問) 協議離婚届の不受理届けはどこに出せばいいのですか。
答) 申出人の本籍地市区町村長宛です。非本籍地に届け出ても、当該市区町村長はこれを受付け、その後これを本籍地市区町村長に送付することになっています。

問) 相手が精神病のとき、調停離婚できますか。
答) 調停をするためには、意思能力が備わっていることが必要です。相手方が精神病でも、意思能力があれば、離婚するためにはまず調停を申し立てるべきです。このとき、意思能力のあることを示す、診断書を申立書に添付するとスムーズにいきます。申立後、調停するのに際して、意思能力を欠いた場合、調停は終了します。

問) 条件さえ相手方との合意が整えば、離婚しても良いと考えています。どのような調停を申し立てれば良いでしょう。
答) あなたの離婚意思が現段階で固まっていたとしても、未成年の子がいるときなど、冷却期間をおけば、離婚の意思を翻意することも予想されます。そこで、家庭裁判所では、「離婚事件」として立件せず、「夫婦関係調整事件」として立件している場合が多いのが現状です。まずは、夫婦関係調整調停を申し立てることが必要です。

問) 離婚の調停を申し立てるのに、離婚原因は必要ですか。
答) 夫婦関係調整調停は、両当事者の自主的解決が図られることを趣旨として行われますので、離婚原因は不要です。

問) 愛人を作って、家庭を顧みない相手方から、離婚調停はできるのでしょうか。
答) 離婚調停の申立ては、法定の離婚原因の有無に関係なく申し立てられるため、申立自体を却下することはありません。この調停で、あなたが離婚に明確に合意すれば、調停の成立が認められます。

問) 離婚調停が成立しましたが、子供の将来を考えて、協議離婚の届け出をすることは可能ですか。
答) 可能です。調停離婚となると、戸籍にもその旨が載りますので、将来について不安があるのであれば、調停条項に「申立人と相手方とは協議上の離婚をすることとし、遅滞なくその届出をすること」と記載してもらうと良いです。

問) 離婚のみの合意をし、調停を成立させた場合、財産分与、慰謝料等をあとから請求できますか。
答) 調停条項に「本件紛争を解決したものとする」との条項を盛り込むと、財産分与等を請求することはできないと解せられます。そうでなければ、別個に請求できます。このとき、財産分与の請求期間は離婚のときから2年以内、慰謝料については離婚のときから3年以内です。

問) 調停で、子供の養育費について合意ができました。しかし、相手が支払ってくれません。どのようにすれば良いですか。
答) 調停が成立すると履行勧告の制度が利用できます。履行勧告の制度は、家庭裁判所が権利者の申立により、義務者と折衝し、履行するように勧告する制度です。安易な制度で利用しやすい反面、強制力はありませんから、それでも相手が支払ってくれない場合は、強制執行の手続きをとるほかないでしょう。

問) 調停を不成立としないで、取り下げた場合、離婚の裁判はできないのですか。
答) 相手方と十分に話し合い、合意が得られなかったため、不成立とせず調停の取り下げをした場合は、十分に話し合っているので、地方裁判所へ離婚の訴えを提起できます。このとき、調停の取下げ証明書を添付することが必要です。逆に、たとえ調停で不成立となっても、年月が経って、事情に変化が生じた場合は、再度の調停が必要です。

問) 離婚訴訟で、相手が欠席した場合、どうなりますか。
答) 通常の民事訴訟では、相手方が欠席すると、事実を争わないものとして扱い、原告の主張を自白したものとして、これを事実とみなし、原告の請求のとおりの判決が出ます。しかし、離婚等の人事訴訟では、このような欠席判決はもらえません。あなたの方で、離婚原因があることを立証しなければなりません。具体的には、あなた(原告)本人尋問を経たうえで、判決が行われます。

問) 私たち夫婦はすでに別居していますが、離婚訴訟を提起する場合、どこの裁判所に提起したら良いですか。
答) まず、離婚訴訟は、すべて地方裁判所の管轄に属します。次に、別居しているのであれば、最後の共通の住所地に夫婦の一方が住所を有していれば、その住所を管轄する地方裁判所に訴えを提起しなければなりません。すでに夫婦双方が最後の共通の住所地に住所を有しない場合は、夫または妻が居住する地の地方裁判所に訴えを提起します。

離婚相談(婚約不履行)

問) 妻のある人との婚約は有効ですか。
答) その人の現在の婚姻が破綻しており、近い将来離婚が成立する見込みが確実な場合には、婚姻の解消後に婚姻しようという合意も有効と解して良いでしょう。東京地判昭和34・12・25は、妻ある男との婚姻予約を有効とし、予約不履行に対する信頼利益の賠償(契約が有効に成立することに寄せた信頼=そのために費やした実費など)を認めました。

問) 結納を交わし、お互いの親戚にも紹介した婚約者が、翻意して婚姻しないと言ってきた場合、婚約の履行を求めることができますか。
答) 家庭裁判所に調停を申し立てて翻意を促すことや訴えで履行を求めること自体は可能です。しかし、婚姻は自由な意思に基づいてのみ行われるものであって、強制はできません。婚姻は両性の合意のみによって成立するというのが憲法の精神ですから、国家からの強制にはなじまないのです。

問) 婚約したのですが、解消したいと考えています。どういう場合に、解消できますか。
答) 婚約を解消するには、正当事由がなければ、違法性があるとして損害賠償の対象になります。問題は、いかなる場合に正当事由があるかですが、判例では、性交不能がある場合、不貞行為があった場合などに正当事由があると判断されています。婚姻解消の正当事由よりは緩やかに解されますが、単なる「相性・方位が悪い」などは正当事由にならないと言えます。

問) 一方的に婚約を破棄された場合、損害賠償請求できる範囲はどこまでですか。
答) まず、物的損害として、婚約披露の費用、結婚式場や新婚旅行などの申込金やキャンセル料です。また、婚約し、結婚準備のために会社を辞めたときに、退職をしなかったら得られたであろう額(逸失利益)が損害賠償の範囲に含める裁判例もあります(東京地判昭和34・12・25)。さらに精神的損害に対する慰謝料請求ができます。

問) 婚約を解消されましたが、それは彼の母親が強硬に結婚反対の意見を主張し、彼に働きかけたからでした。彼の母親に損害賠償請求できますか。
答) 彼には資産がなく、彼の母親には資産がある場合など、彼の母親に損害賠償請求できる方が、あなたはより保護されるといえるでしょう。要件さえ満たせば、母親に対して、不法行為に基づく損害賠償請求ができます。裁判例にも、男性側からの婚約破棄の事案につき、男性の不法行為責任を認めるとともに、その母親にも共同不法行為責任を認めたものがあります(徳島地判昭和57・6・21判時1065号170頁)。

問) 婚約を解消されましたが、それは彼がほかの女の人を好きになり、すでに肉体関係まで有してしまったからでした。この女の人にも損害賠償請求できますか。
答) 第三者(女の人)の不法行為責任を問うことは可能でしょう。ただし、第三者の関与が違法と言える程度でなければなりません。裁判例には、第三者が婚約者と肉体関係を結びながら、事実を偽ってこれを否定していた事例で、第三者の違法な行為によって婚約の解消を余儀なくされた場合、第三者は不法行為による損害賠償義務は免れないとしたものがあります(大阪高判昭和53・10・5判タ378号107頁)。

問) 結納を渡したのですが、婚約を解消しました。相手にも婚約解消に至るにつき、責任があった場合、結納は返してもらえますか。
答) 結納者の責に帰すべき事由によって婚約が解消された場合でも、結納を受け取った側にも婚約解消の責任の一端があった場合、結納者の責任が結納を受け取った側の責任より重くないときには結納等の返還を許し、より重いときにはその返還を請求できないとした裁判例があります(福岡地小倉支判昭和48・2・26判時713号108頁)。

問) 婚約を解消したとき、交際中にもらった指輪などプレゼントも返還しなければなりませんか。
答) 指輪が婚約指輪であったとき、これは結婚することを目的とする贈与ですから、結納と同様に返還しなければなりません。交際中のプレゼントは、婚姻を前提とするものではなく、愛情の表現ですから、特に当事者が婚姻を目的とする旨を明らかにしない限り、返還の必要はありません。

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